久しぶりの投稿です。
本日は、イギリスのロマン派詩人 Percy Bysshe Shelly(パーシー、1792年-1822年)の「Ozymandias」の紹介です。

■この詩のテーマ・背景
どんな権力者も必ず衰退するという盛者必衰・人間文明の儚さをテーマにしています。
松尾芭蕉の「夏草や つわものどもが ゆめのあと」の俳句や、
中国・唐代の詩人 杜甫の「国破れて山河在り」の漢詩にも共通するテーマだと思います。
国や時代は変われど、栄華の儚さと自然の対比というテーマは読まれ続けています。
この詩について検索すると、パーシーは傲慢で残酷な王や支配者を批判する意図をもってこの詩を書いたという意見がありました。
当時、ジョージ3世(George III, 1738年-1820年)の支配下で、英国は領土拡大戦争に明け暮れていた時代のようなので、この詩には支配者・王制を批判する意図があったのかもしれません。
なお、この詩に登場する石像のモデルは大英博物館所蔵、Ramesses IIというエジプト王の石像だそうです。3300年前に花崗岩から作られました。胴体だけで7トンあるそうです。

【原文】
I met a traveller from an antique land
Who said: “Two vast and trunkless legs of stone
Stand in the desert. Near them, on the sand,
Half sunk, a shattered visage lies, whose frown,
And wrinkled rip, and sneer of cold command,
Tell that its sculptor well those passions read
Which yet survive, stamped on these lifeless things,
The hand that mocked them, and the heart that fed;
And on the pedestal these words appear:
‘My name is Ozymandias, king of kings:
Look on my works, ye Mighty, and despair!’
Nothing beside remains Round the decay
Of that colossal wreck, boundless and bare
The lone and level sands stretch far away.”
【和訳】
私は古の地から来た旅人に会った
彼はこう語った——「二本の巨大で胴体のない石の脚が
砂漠に立っている。そのそばの砂の上に、
半ば埋もれた、砕けた顔が横たわっている。
しかめ面と、しわ寄った唇、冷酷な支配を表す嘲りの表情——
それらはその彫刻家が感情をよく読み取っていた証拠だ。
今や命なきこの石に刻まれながらも、
それらの感情は生き続けている。
それを嘲った手と、それを支えた心があったのだ。
台座にはこんな言葉が刻まれている:
『我が名はオジマンディアス、諸王の王である。
我が業を見よ、強き者どもよ、そして絶望せよ!』
……そのそばには何も残っていない。
巨大な廃墟のまわりには、限りなく広く、
何もない平坦な砂漠が広がっている。」
■詩の技法・表現
・詩全体は14行のシェイクスピア風ソネット(ただし韻律や構成は変則的)で構成
・詩の冒頭「I met a traveller from an antique land」で始まり、物語は旅人の語りとして展開される
・旅人の語りは、(1)残された足(2-3行目) ⇒ (2)砂に埋もれた顔(3-8行目)⇒ (3)台座(9-11行目)⇒ (4)広大な砂漠(12-14行目) の順番
・石像は権力の象徴。しかし、実際には王の石像は”Two vast and trunkless legs of stone”や”Half sank, a shattered visage“と描写されており、権力が時間とともに衰退することを象徴
・10~11行目は、台座に刻まれた言葉。「我の前に跪け」という趣旨、しかし、そこには石像の残骸の他に何も残っていないという皮肉
・8行目”The hand that mocked them, and the heart that fed:”は、解釈が分かれる曖昧な部分。例えば、王のhandがthem(王の領土に暮らす民)を支配して、民を搾取することで王のheartが満たされたという読み方や、The handは彫刻家の手を意味しており彫刻家が王の細かな表情や体の細部(them)を作り上げたという読み方、もある。ネイティブでも何を言っているかわからない人多数 (笑)
・13行目”colossal”は最上級の大きさを示す。 アニメ「進撃の巨人」の超大型巨人を英語版では、”colossal giant”と呼ぶ。それぐらい巨人なものに対して使うらしい
■単語
visage 顔だち、容貌
wrinkled lip しわのある唇(※王のしかめっ面を連想させる)
sneer あざ笑う、嘲笑する
pedestal 台座
despair 絶望する
decay 腐敗、衰退
colossal 巨大な(超大型な)